
複雑な政治活動の規制を理解する上で、ポイントとなる視点が2つあります。
1つ目の視点が「規制の時期がいつなのか」という視点です。
「規制の時期」に着目をしますと、政治活動の規制には、「平常時と選挙時の2つの規制がある」ということになります。
つまり、「平常時における政治活動の規制」、「選挙時における政治活動の規制」ということです。
次に、2つ目の視点が「規制の主体は誰か」という視点です。
つまり、「誰のための政治活動が規制を受けるのか」という視点です。
候補者などの「個人」なのか、政党などの「団体」なのか、ということがこの後問題になってまいりますので、各規制の対象となる主体が誰なのかという点に注意をしていただきますようお願いいたします。
今回は、「平常時における政治活動の規制」についての基本的な考え方を見ていきます。
平常時における政治活動の規制
前提として、「選挙の行われていない平常時においては、選挙運動にわたらない『純然たる政治活動』を行うことは、原則自由」です。
この、「政治活動は原則自由である」という前提を基本としつつ、お金のかかる選挙を是正し、選挙の公平公正を図る見地から、平常時、つまり、選挙が行われていない時期の政治活動に対する規制として、以下(1)から(3)まで、3つの規制があります。
(1)文書図画の掲示に関する規制について
(2)年賀状などの挨拶状の禁止について
(3)挨拶を目的とする有料広告の禁止について
ただ、この「平常時」の意味について、1つ注意していただきたいのですが、今、平常時の規制を、選挙が行われていない時期の規制と記載しましたが、選挙が行われていない時期の規制といいますと、なんとなく、「選挙が行われている時期には、この規制は適用されないのではないか」と考えてしまいがちですが、そうではありません。
平常時の規制とは、「時期にかかわらず常に規制されるもの」ですので、ご注意いただきたいと思います。
このため、考え方としましては、平常時というよりは、頭の「平」を取って、「常時の規制」と考えると頭の整理がしやすいのではないかと思います。
(1)文書図画の掲示に関する規制について
公職選挙法では、お金のかかる選挙を是正し、選挙の公平公正を図る見地から、公職選挙法には、「公職の候補者等の氏名又は氏名類推事項を表示する当該公職の候補者等のための政治活動用文書図画、それから、後援団体の名称を表示する当該後援団体のための政治活動用文書図画については、次に掲げるものを除き、時期にかかわらず常に掲示が禁止されている」とありまして、例外的に掲示が可能な政治活動用文書図画として、アからエまで、4つ記載されております。
これらが、公選法の143条の16項に規定されている規制となります。
ア 立札及び看板の類
イ ポスター
ウ 政治活動のためにする演説会等の会場において、当該演説会等の開催中使用されるもの
エ 確認団体となった後援団体が許された態様により使用するもの
規制の主体
まず、先ほど申しましたように、規制の主体を確認しますと、この143条16項の規制対象は、「公職の候補者等」と「後援団体」の2者ということになります。
公職の候補者等
「公職の候補者等」とは、3つの者を指すとされています。(公選法第143条16項)
・公職の候補者
・公職の候補者となろうとする者
・公職にある者
まず、1つ目の「公職の候補者」とは、現に立候補をしている者をいいます。
次に、2つ目の「公職の候補者となろうとする者」ですが、こちらは、「自ら立候補の意思を表明している者のみならず、客観的に立候補の意思を有していると認められる者も含まれる」と考えられております。
ですので、出馬表明という形で立候補の意思を対外的に示していなくても、客観的にその意思を有していると認められれば、「なろうとする者」に当たり、規制の対象になるということです。
最後に、「公職にある者」ですが、こちらは、「現に公職についている者すべてをいい、次期選挙に立候補する意思を有すると否とを問わない」とされております。
後援団体
続いて、「後援団体」についてですが、後援団体とは、「政党その他の団体又はその支部で、特定の公職の候補者等の政治上の主義若しくは施策を支持し、又はこれらの者を推薦し、若しくは支持することがその政治活動のうち主たるものであるもの」ということです。
こちらの定義は、公選法第199条の5の第1項に規定されております。
規制の内容
では、規制対象を確認していただいたところで、次は、規制の中身についてです。
「何をしてはいけないのか」、それは「公職の候補者等個人の氏名又は氏名類推事項を表示した文書図画を掲示してはならない」ということ、それから、「後援団体の名称を表示した文書図画も掲示してはならない」ということです。
例外的に、「立札及び看板の類」や「ポスター」など、アからエまでのものであれば、掲示できることになります。
要するに、個人や後援団体の名称を表示した文書図画は、アからエ以外掲示不可ということです。
例えば、氏名入りの「たすき」につきましては、立札・看板の類にもポスターにも当たりませんので、通常は使用できないということになります。
また、氏名に関連しまして、氏名類推事項につきましては、「鈴木太郎」さんを「鈴さん」と略して記載した場合も、氏名の一部が記載されているため、氏名類推に当たる恐れがありますし、写真やイラスト、似顔絵についても、氏名類推に当たると解釈されております。
それから、スローガンのような形で、「山も川もきれいな明るい市政を」といったように、「山」「川」「明るい」という文字をことさら強調して書いてある場合も、氏名類推にあたる恐れがあります。
繰り返しとなりますが、個人や後援団体の名称を表示した文書図画は、原則掲示禁止とされており、例外的に、「立札・看板の類」や「ポスター」であれば掲示できるということでございます。
しかしながら、「立札及び看板の類」や「ポスター」であっても、無制限に掲示できるものではなく、様々な制限が付されておりますので、ここからは、それぞれ詳細を確認していきたいと思います。
ア 立札及び看板の類について
①「大きさ」
大きさは150cm×40cm以内と定められており、足の部分を含んだ大きさとなります。
②「表示物」
選管が交付した証票、つまり、シールを貼る必要があります。
これは、掲示できる数に上限が定められているため、証票を貼る必要があるわけです。
③「掲示できる場所及び数」
以下の表1に掲げる総数の範囲内で、かつ、公職の候補者等又は後援団体が政治活動のために使用する事務所ごとに、その場所において、通じて二を限り掲示できます。
ここで注意していただきたいのは、制限されているのは、看板を掲示できる数だけでなく場所も決められているという点です。
掲示場所は、「政治活動のために使用する事務所ごとに、その場所において」とされております。
この解釈につきましては、「その場所において」とは、「事務所の設置場所と社会通念上合理的に判断される場所であることを要する」とされております。
このため、個人名や後援団体名を表示して掲示することが認められている看板というのは、内容としましては、例えば「○〇事務所」といったように、政治活動用の事務所を表示する看板ということになります。
また、設置できる場所につきましても、「ここが事務所の設置場所です」と合理的に判断できる場所に設置されていなければならないということになります。
④「記載内容等」
記載内容は、「○○事務所」というように政治活動用の事務所を表示するものが一般的なものとなります。
また、重要な点ですが、個人名を記載した看板の掲示が認められているのは、公選法143条16項という「政治活動」の規制の中で、ということですので、選挙運動にわたるものは、別途、選挙運動の規制を受けることになります。
つまり、記載内容から見て選挙運動にわたるものは不可となりますので、例えば、「○○選挙立候補予定者○○事務所」といった記載は、違反になる可能性があります。
「のぼり」は、立札及び看板の類とされております。
ですので、政治活動用の事務所において掲示される「のぼり」であって、その他、大きさ等の条件を満たす「のぼり」であれば、適法なものになります。
しかし、例えば、のぼりを使って、公職の候補者個人または後援団体の政治活動として街頭演説をするといった場合には、事務所ではない場所に掲示することになりますので、違法なものということになります。
⑤「掲示できる立札及び看板の総数」
掲示できる立札及び看板の総数は、選挙の区分に応じて定められております。
また、「公職の候補者等」の政治活動のために使用する事務所と「後援団体」の政治活動のために使用する事務所とでそれぞれ総数が分けて定められており、「公職の候補者等」の事務所用として申請した証票を「後援団体」の事務所用として看板に貼り付けることや、「後援団体」の事務所用として申請した証票を「公職の候補者等」の事務所用として看板に貼り付けることはできません。
例えば、衆議院小選挙区の場合、「公職の候補者等」個人としての事務所については10、当該候補者等の「後援団体」としての事務所については15が、掲示できる立札及び看板の総数の上限となります。
また、同一の候補者等について後援団体が複数存在する場合についてですが、143条16項で「同一の公職の候補者等に係る後援団体のすべてを通じて政令で定める総数の範囲内で」と規定されているため、同一の候補者に係る全ての後援団体が掲示する立札及び看板の数の合計が、表1で定められた総数の範囲内でなければならないということになります。
表1 使用できる総数(施行令110条の5)及び証票の申請先
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区 分 |
公職の候補者等 |
後援団体 |
証票の申請先 |
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衆議院(小選挙区) |
10 |
15 |
都道府県選管 |
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衆議院(比例代表) |
・当該選挙区の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が11以上13以下である場合22
・13を超える数が2を増すごとに2を22に加えた数 |
・当該選挙区の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が11以上13以下である場合33
・13を超える数が2を増すごとに3を33に加えた数 |
中央選挙管理会 |
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参議院(各選挙区) |
・当該都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が2である場合 ⇒12
・当該都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が2を超える場合⇒その2を超える数が2を増すごとに2を12に加えた数 |
・当該都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が2である場合 ⇒18
・当該都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数が2を超える場合 ⇒その2を超える数が2を増すごとに3を18に加えた数 |
都道府県選管 |
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参議院(比 例 代 表) |
全国100 ※ |
全国150 ※ |
中央選挙管理会 |
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都道府県知事 |
26 |
39 |
都道府県選管 |
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都道府県議 |
6 |
6 |
都道府県選管 |
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指定都市の長 |
10 |
10 |
指定都市選管 |
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市長(指定都市除)・市議 |
6 |
6 |
市選管 |
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町村長・町村議 |
4 |
4 |
町村選管 |
※ただし、参議院(各選挙区)の数を超えることはできない。
イ 政治活動用ポスターについて
次に、政治活動用ポスターに関する規制についてです。
政治活動用ポスターについて(公職選挙法における主な規制)
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公職の候補者等個人の政治活動用ポスター 後援団体の政治活動用ポスター |
政党その他の政治活動を行う団体の政治活動用ポスター (後援団体の政治活動用ポスターを除く) |
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掲示 期間 |
次の期間は掲示禁止(法143条⑯⑲) ①任期満了による選挙の場合 任期満了の日の6か月前の日 ~ 当該選挙の期日 衆議院議員 参議院議員 都道府県知事 都道府県議会議員
②衆議院の解散の場合 解散の日の翌日 ~ 当該選挙の期日
③地方公共団体の議会の議員又は長の任期満了による選挙以外の選挙の場合 当該選挙を行うべき事由が生じたときその旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が告示した日の翌日 ~ 当該選挙の期日
ほか |
選挙の期日の告(公)示前に掲示された政党等の政治活動用ポスターは、当該ポスターに氏名又は氏名類推事項を記載された者が当該選挙において候補者となったときは、当該候補者となった日のうちに、当該選挙区において、当該ポスターを撤去しなければならない (法201条の14①) |
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記載 内容 |
演説会の告知など、選挙運動にわたらない 純粋な政治活動とみられる内容であること |
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必要 事項 |
掲示責任者及び印刷者の氏名(法人の場合は社名)・住所を記載すること |
制限なし |
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掲示 方法 |
当該ポスターを掲示するためにあつらえたベニヤ板、プラスチック板その他これらに類するものを用いて裏打ちしたポスターは不可 |
制限なし |
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大きさ |
制限なし |
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枚数 |
制限なし |
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イメージ |
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表にしてまとめておりますが、表の左側が、「公職の候補者等個人」と「後援団体」の政治活動用ポスターに関する主な規制内容になります。
そして、「併せて」という形になりますが、右側に、「政党その他の政治活動を行う団体」の政治活動用ポスターに関する規制、つまり、後援団体を除く団体の規制についても、併せて記載しております。
ここで、143条16項による規制の対象を思い出していただきたいのですが、規制の対象は「公職の候補者等個人」と「後援団体」の2者でした。
つまり、団体で規制を受けるのは、後援団体だけですので、後援団体を除く団体につきましては、規制の対象外ということになります。
ですので、表の右側の「政党その他の政治活動を行う団体の政治活動用ポスター」の規制内容を見ていただきますと、「制限なし」という文字が並んでいると思いますが、一方で、1一番上の「掲示期間」については、143条16項以外による規制があるます。
個人や後援団体のポスターの規制と併せて、一覧で見ていただくために、こちらに整理しております。
個人と後援団体の政治活動用ポスターの規制
では、まず、表の左側、個人と後援団体の政治活動用ポスターの規制について、見ていきたいと思います。
掲示期間
まず、掲示期間についてですが、1行目に「次の期間は掲示禁止」とありまして、①から③まで、主なものを記載しておりますが、「①任期満了による選挙の場合」につきましては、重要ですので、ぜひ覚えておいていただきたいと思いますが、任期満了の日の6か月前の日から掲示禁止となります。
次の期間は掲示禁止(法143条⑯⑲)
①任期満了による選挙の場合
任期満了の日の6か月前の日 ~ 当該選挙の期日
衆議院議員
参議院議員
都道府県知事
都道府県議会議員
②衆議院の解散の場合
解散の日の翌日 ~ 当該選挙の期日
③地方公共団体の議会の議員又は長の任期満了による選挙以外の選挙の場合
当該選挙を行うべき事由が生じたときその旨を当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が告示した日の翌日 ~ 当該選挙の期日
記載内容
次に、記載内容につきましては、「選挙運動にわたらない純粋な政治活動とみられる内容である」必要があり、代表例として、演説会の告知用のポスターがあります。
立札・看板のところでも触れましたが、個人名を記載したポスターの掲示が認められているのは、公選法143条16項という「政治活動」の規制の中で、ということです。
選挙運動にわたるものは、別途、選挙運動の規制を受けることになります。ですので、記載内容から見て選挙運動にわたるものは不可となります。
必要事項
掲示責任者、印刷者の氏名、住所を記載することとされています。。
掲示方法
掲示の方法は、いわゆる「裏打ちポスター」※は掲示不可ということになります。
※ベニヤ板、プラスチック板などを用いて裏打ちしたポスター。
後援団体以外の団体のポスター、政党等のポスター
掲示期間
表の右側、後援団体以外の団体のポスター、政党等のポスターにつきましては、143条16項による規制はございません。
ですので、例えば、裏打ちポスターであっても掲示可能となりますし、任期満了の6か月前であっても掲示可能となります。
ただしですが、1点、別の規制がございますので、ご確認いただきたいのですが、掲示期間について、公選法の201条の14に別の規制があります。
つまり、「選挙の期日の告示前に掲示された政党等の政治活動用ポスターは、当該ポスターに氏名又は氏名類推事項を記載された者が当該選挙において候補者となったときは、当該候補者となった日のうちに、当該選挙区において、当該ポスターを撤去しなければならない」とされております。
掲示期間についてのまとめになりますが、個人と政党等のポスターそれぞれの掲示期間を図で整理しております。
左側の「個人用及び後援団体用のポスター」であれば、任期満了の6か月前から掲示不可となるのに対しまして、「政党等のポスター」であれば、そのような規制はなく、ただし、弁士等としてポスターに記載されている者が立候補した場合には、告示日のうちに撤去しなければならないということになります。
ですので、任期満了の6か月前になりますと、個人用のポスターは不可になりますが、政党等のポスターは掲示可能です。
記載内容
次は記載内容についてです。政党等のポスターにつきましても、あくまで政治活動用でございますので、当然、記載内容は選挙運動にわたるものは不可となります。
よく見かける代表的なものとしましては、政党等が開催する演説会の告知ポスターということになります。
そうなりますと、演説会には「弁士」が存在していることになりますので、ポスターにも、その弁士個人の氏名が記載される、ということになると思われます。
ですので、この場合、「どういう記載内容であれば、個人用でなく、政党等のポスターとして認められるのか」ということが問題となってくるところであり、個人用と政党等のポスターを区別する判断基準ということが重要になってくるわけでございます。
結論から申しますと、①弁士が同等に取り扱われていること、そして、②政党部分の面積が個人部分の面積よりも広いこと、この2点を同時に満たしているときには、個人用ではなく、政党のポスターとして認められることになります。
いわゆる「三連ポスター」というものになります。

ここで、注意をしていただきたい点を3点ご紹介します。
まず、1点目ですが、②の基準につきましては、政党部分の面積は、個々の個人部分の面積よりも「広い」とされておりますので、「面積が同じ」では足りないということになります。
つまり、ぴったり1/3同士の場合は不可ということになります。政党部分の面積は、1/3を超えていなければならないということになります。
また、2点目といたしまして、「政党部分」の解釈についてですが、弁士の1人が党首である場合であっても、党首の部分は政党部分には当たらないとされております。
また、3点目に「余白」についてでございますが、余白については、弁士の部分にも、政党の部分にも、どちらにも当たらないと解されております。
【政党等ポスターと公職の候補者等個人用ポスターの区別の判断基準】
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① ポスターで紹介された弁士が1人の場合 最も強い個人性。ただし、弁士が党首のみである場合には、党首は政党の代表、シンボル的存在であるため、直ちに党首個人の政治活動用とまでは言えない。
② 複数の弁士が紹介されている場合でも、すべての者を同等に取り扱っておらず、弁士のうち特定の弁士のみを殊更目立たせるようにした場合 ※ 特定の弁士・・・通常は立候補予定者
③ 複数の弁士を同等に取り扱っている場合でも、弁士の紹介に係る記載部分の面積が、弁士の紹介部分すべてを除いた純然たる政党の記載部分の面積を超えている場合
④ 弁士として紹介された個人の全てが、同一選挙の同一選挙区の立候補予定者である場合 ※ 2人の弁士のうち、 ・1人が衆議院比例で、もう1人が衆議院小選挙区である場合 ・1人が参議院比例で、もう1人が参議院選挙区である場合 も含む
※ その他、「弁士」の記載の有無、文字の大きさ、レイアウト等、個々のポスターに関し総合的に判断 ※ 外形的な基準のみならず、政治活動の目的や演説会開催の実態等についても、必要に応じ、確認又は注意を促す必要あり |
それでは、それらを踏まえて、①から④まで、4つの事例を示しております。
これらはすべて、「政党等の政治活動用ポスター」とは認められない事例です。
①が弁士が1人の場合、②から④までが弁士が複数の場合となっております。
まず、①ですが、①は弁士が1人ということですので、「弁士が同等」にはなりえませんので、個人用のポスターということになります。
ただし、弁士が党首の場合には、党首は政党の代表であり、シンボル的存在であるため、直ちに党首個人のポスターとは言えないと考えられております。
次に、②ですが、「複数の弁士が掲載されているものの、特定の弁士を殊更目立たせるようにした場合」ということで、こちらは、弁士を同等に扱っていないということになりますので、強調させた弁士の個人用ポスターとなります。
ただし、強調させた弁士が党首の場合は、直ちに党首個人のポスターとは言えないと解されております。
③ですが、こちらは、「複数の弁士が同等に扱われているものの、政党の記載部分、「○○党演説会」と記載された部分になりますが、こちらの政党の記載部分の面積が弁士の紹介部分の面積より小さくなっている場合」ということになります。
こちらにつきましては、2つ目の基準である、「政党部分の面積が個々の個人部分の面積よりも広い」とは言えませんので、弁士2人の個人用ポスターとして認定されることになります。
最後に、④ですが、「弁士として紹介された個人の全てが、同一選挙の同一選挙区の立候補予定者である場合」ということで、A市議に立候補しようとしている候補者が2人並んでいる場合、個人用のポスターの共同利用ということで、弁士2人の個人用ポスターということになります。
以上、①から④まで、4つの事例により主な基準を説明してきましたが、その他、「弁士」の記載の有無、文字の大きさ、レイアウト等を含め、個々のポスターに関し総合的に判断する必要があります。
(2)年賀状などの挨拶状の禁止について
文書図画の掲示に関する規制については、以上です。
続きまして、平常時の規制の2つ目になりますが、(2)年賀状などの挨拶状の禁止についてです。
「公職の候補者等が、選挙区内にある者に対し、年賀状等の時候の挨拶状を出すことは、答礼を目的とした本人自筆のものを除き、時期にかかわらず常に禁止」ということで、こちらは、公選法の147条の2に規定がございます。
規制の対象
まず、本規制の対象、主体はといいますと、公職の候補者等となります。
規制の内容
次に、規制の内容については、「年賀状などの時候の挨拶状を選挙区内の者に出すことが常に禁止」ということで、ここでいう「時候の挨拶状」とは、年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状、その他これらに類する挨拶状ということで、クリスマスカードや喪中葉書も禁止されております。
なお、禁止されているのは、時候の挨拶状ですので、時候の挨拶以外の祝電や弔電は、原則として認められております。
また、本規制の例外として、「答礼を目的とした本人自筆のもの」につきましては、禁止の対象外とされております。
この「本人自筆のもの」につきましては、署名のみ自筆のものや、ワープロによる挨拶状、また、ファックスによる挨拶状も、自筆のものとは認められておりません。
ですので、例えば、誰かから年賀状をもらい、その答礼として年賀状を出す場合であって、かつ、すべて自分で書いた場合には、認められるということになります。
(3)挨拶を目的とする有料広告の禁止について
続きまして、平常時の規制の3つ目になります。
挨拶を目的とする有料広告の禁止についてです。
「公職の候補者等及び後援団体が、選挙区内にある者に対し、主として挨拶を目的とする広告を、有料で、新聞紙、雑誌、ビラ、パンフレット、インターネット等に掲載させ、又は放送事業者の放送設備により放送させることは、時期にかかわらず常に禁止」ということで、こちらは、公選法の152条に規定があります。
規制の対象
まず、こちらも、規制の対象、主体はといいますと、公職の候補者等のほか、後援団体も対象です。
規制の内容
次に、規制の中身については、「選挙区内の者に対する、挨拶を目的とした広告を、有料で、新聞等に出すことが常に禁止」ということで、まず、禁止されている広告の内容としては、「主として挨拶を目的とするもの」ですので、純粋な政策広告であれば、一般的には、挨拶を目的とする広告には該当しないということになります。
また、本規制の趣旨は、お金のかからない選挙の実現ということですので、禁止されているのは、「有料」でする広告でございます。
無料の広告につきましては、本規制の対象外となります。
平常時における政治活動の規制につきましては、以上の3つになります。





